2022/12/19 16:41
この舞台の紹介としましては、1988年の初演から日本国内のみならず、アメリカをはじめ世界中で公演して好評を得てこられたそうです。戦争もの、ましてや神風特攻隊を扱っているにも関わらずとても笑えるコメディーです。
本は舞台と違ってやはり重いのですが、それでも戦争ものにしてはとても読みやすい方だと思います。舞台にしても本にしても下ネタが多いです。
頑張って皆さんが読みたくなるようなあらすじを書きますね。
売れない漫才コンビ、田代誠(通称アニキ)、相方袋金太(通称キンタ)が主人公で物語がはじまります。幼馴染の2人の故郷は兵庫県は日本海側にある小さな町。お笑い名人大賞を夢見て、訳あって大阪ではなく東京に出てきてしまってます。そんな2人が8月1日、ギャルをナンパしに行く途中トラックにはねられます。
目覚めるとそこは1945年8月1日、神風特攻隊の基地。しかもアニキは岸田中尉と呼ばれ、キンタは福元少尉と呼ばれ、なにがどうなっているのか訳がわからず戸惑う2人。やがて自分たちも特攻隊員であることを山本少尉から教えられます。山本の仮説では、おそらくアニキとキンタは交通事故のショックで2人の前世である神風特攻隊員にタイムスリップしたのではないか、とのこと。
平成の時代に戻るにはどうしたら良いのか分からない2人。そして平成の若者である2人には理解できない隊員たちの言動、考え方。それと同時に次第に前世の記憶に蝕まれていることにもイライラが募ってきます。
隊員達と衝突を繰り返しながら少しずつお互いに心を通わせて行きますが、やはり理解できない部分がある…。しかし死なせたくはない。
やがて、出撃してゆく仲間達を必死になって止めるようになるアニキ。
「生まれ変わりなんてありはしないよ、あったとしてもそれは別人だ、お前の人生はたった一度だけなんだぞ。それをお国の為に死ぬなんて…」
「お前な、女好きだろ?一晩中抱きしめたいだろ?結婚してガキの一人でも作って、男の夢追っかけて力一杯生きてくのが俺達、若者の特権だろ…」
そんなアニキの制止の声に、たまらなくなって本音を漏らす仲間達。その本音はまさしく優しい、純粋な若者らしい言葉でした。(アニキの説得によって、死を覚悟している彼らが本音を漏らしてしまう場面はとても残酷に感じました。)
しかし、こういう時代に生まれたことを恨む事しか出来ない仲間達は、愛する人たちを守る為に、または愛する人達の下へ行く為に夏空へ飛び立ってゆく…。
ー平和な時代でまた逢おうー
―みんなと天国で待っているからな―
そう言い残して…。
自分の無力さに打ちのめされるアニキ。
なにも言えず泣きながら見送るキンタ。
やがてキンタはある重大な秘密を見つけてしまう…。その秘密とは・・・?
物語は哀しみと希望の交錯するクライマックスへ。