2023/06/17 06:26
『手をつないでかえろうよ〜シャングリラの向こうで〜』
今井雅之のラストメッセージ
シャングリラ市は中華人民共和国雲南省デチェン・チベット族自治州に位置する県級市。
しかし、『理想郷』という意味で用いられる事が多い。
伊勢神宮を目指す知的障害者の男の数奇な人生を回想を重ねながら描く。
今井雅之氏といえば代表作に神風特攻隊を描いた『THE WINDS OF GOD』があります。その他にもいくつかの今井雅之氏の作品を観てきた中でこの『手をつないで〜』は今井雅之氏の優しさと温かみがあふれた作品であるような気がします。
他の作品に比べてストレートなメッセージ性や観る側に情熱を与えるような作品ではありません。
しかし今井雅之氏があえてそうしたのは人それぞれのシャングリラは大切な人との過去や未来や現在にあって、その時間はいつもあなたの中にあるんですよ、という事を伝えたかったのからかも知れません。
この舞台版での挨拶で今井さんは『この作品のテーマについてはあえて言いません。皆様が感じて下さい』というニュアンスの事をおっしゃっていたような気がします。
もしかしたら10年後にこの作品を観たら、また違う印象を持つのかも知れません。
余談ですが、当初の今井雅之氏が監督の予定では苫米地英人先生と梅沢富美男さんが反社の役で出演される予定だったそうです。
木曜バラダンコメンテーターであったあの御三方です。苫米地先生の冷静で適切な解説に下ネタを被せる今井さんにツッコミを入れる梅沢さん。(笑)
はじめてこの映画を観たのは豊岡劇場でした。扁桃腺を摘出して退院したその翌日が公開初日で、(その日に合わせて退院してきたんですが)今井さんの同級生の板前さんから『大丈夫か?痩せとるやん』と言われるほどやつれておりました。そりゃ喉の奥に梅干し大の口内炎が2つ出来てるような状態ですから。横から身体を見たらペラペラでした。その3日前は病院のベッドの上で虫の息状態でしたから。
大切な人への感謝の気持ち。
それを幾度となく反芻しながら生きていく事でまた自分も誰かを支えていく。その優しさの連鎖はいつか世界中をつないでいく。
最期の最期まで平和を願い続けた今井雅之氏のメッセージです。
