2025/05/26 12:34

今回は山形県庄内町の阿部亀治さんという方についてお話しします。この阿部亀治さんという方はお米の品種改良をされた方です。小麦の品種改良をされた農林10号の稲塚権次郎さんはとても有名ですが、あまり知られていないこの阿部亀治さんに今回はスポットをあてていきます。
この阿部亀治さんという方は、【亀の尾】というお米の品種を誕生させた方で、この亀の尾はコシヒカリやササニシキの先祖となります。ある日、亀治さんが神社に参拝しにいく途中で稲が倒れた田んぼの中で3本だけ倒れずに元気に実っている稲を見つけて、その3本の稲をその田んぼの持ち主からもらって帰って、30年ぐらいかけて増やしていったというのが亀治さんのお米の品種【亀の尾】なんですね。今は酒米として栽培されているみたいです。
私はこの山形県の庄内平野は行ったことはないんですけれど、小学生の頃の多分一年生かな?二年生かな?社会の教科書に庄内平野でお米農家をされてらっしゃるなんとかさんが紹介されてて、お手紙を書いた記憶があるんですね。手紙をみんなで考えながら幼馴染のゆーすk君がふざけて健G君がキレた記憶があります。この健G君のGはアルファベットのGにしておきます。プライバシー保護の観点から名前は一部伏せておきます。あの、蟯虫検査に引っかかるはるか前の小さい頃のお話ですよ。で、先日ね、ゆーすk君に庄内平野のお米農家さんの名前なんだっけ?って聞いたけれど記憶が古すぎて全く覚えていなかったですね。
で、
慶応4年に生まれた亀治さんなんですけど、庄内町の貧しい農家の子だったらしいんですね。学校もろくに行けなかったって話なんですけど、米のことになると、もう、めっちゃ真剣だったんですって。庄内の農家のおじさんたちから、田んぼの改良とか稲の育て方とか、いろいろ教わって、独学でガリガリ勉強したらしいんですね。
で、明治26年に、亀治さんが26歳の時に、いつも参拝していた神社に行く途中で、あの3本の稲穂を見つけるんですね。
冷害で田んぼが全滅している中、3本だけ倒れずに元気に実っている3本の稲穂を見つけるんですね。
で、その3本の稲穂は私は初め稲塚権次郎さんの小麦の品種の農林10号みたいな矮化現象をイメージしたんですが矮化現象とは違って単純にその3本の稲穂は突然変異だという見方が有力なんですね。矮化現象っていうのは、植物の成長ホルモンに関係する現象で、茎の伸びが抑えられて、背丈が低くなるんですね。風雨で倒れにくくなり、結果として収量が増えると。いう事になります。稲塚権次郎さんの農林10号など、小麦の品種改良にも活かされた重要な性質です。
が、この亀治さんが発見したこの3本の稲穂はその矮化現象ではなく、突然変異で倒れずに育った稲穂だっとされています。
いくら突然変異でもその3本持ち帰って増やしていこうとするその姿勢がすごいですよね。
この亀の尾の特徴は「耐寒性」「食味の良さ」「コシヒカリやササニシキやヒトメボレといった品種の元祖」「酒米」という4本柱が亀の尾の特徴だそうです。食用米としての流通は少ないですが、**酒米(清酒醸造用)**として復活・再評価されています。
山形県内の酒蔵では「亀の尾仕込み」の日本酒がつくられており、香り高くキレのある酒質になると人気です。
あと栽培が難しい=“玄人向け”の品種病気にやや弱く、収量も安定しにくいため、現在の主力品種のような扱いやすさはありません。しかし、それだけにこだわりの農家や酒蔵からは「価値のある米」とされています。
亀治さんはそのもらった3本の稲穂を、4年ぐらいで「亀の尾」って品種にしちゃいます。最初私30年って言いましたが、30年っていうのは、改良したり広めたりした時間も含めての話で、実際は4年で品種改良をされたそうです。
その間、この亀治さんを支えた村の有力者の存在も大きかったと言われています。いつの時代にも今でいう【令和の虎】みたいな人がいるんだとおもいます。
その後、明治の終わりには日本中に「亀の尾」が広がって、やがてコシヒカリとかササニシキが孫として登場してくることになるんですね。
今この「亀の尾」は主に酒米として使われてて、山形の酒蔵とか行ったら、「亀の尾」で作った酒が飲めるそうです。で、亀治さん、晩年までずっと米のこと考えて、庄内の田んぼでコツコツやってたんですが、61歳で亡くなります。私はいつか庄内町に行ってみたいです。
YOUTUBEではこの阿部の亀治さんのことがあんまり取り上げられていないのでもっと詳しくお話を聞かせてくれる庄内町の方を募集します。ZOOMか何かでお話を聞かせてくださる庄内ボーイを大募集です。『OFFICEJIN』にご連絡ください。
この阿部亀治さんの事を調べていくにあたって浅田次郎さん原作の壬生義士伝を思い出したんですね。
新撰組観察方、撃剣師範、南部盛岡藩出身の吉村貫一郎を渡辺謙さんが演じているテレビドラマがあるんですね。でその最後に吉村貫一郎の息子が吉村早稲という米の品種改良を成し遂げるんですね、この吉村早稲というのは浅田さんの創作なんですが、おそらくこの阿部亀治さんの亀の尾の逸話がもとになっているんじゃないかと思います。
【米の品種が多種多様であることの重要性。】
米の品種は冷害に強い品種もあれば、暑さに強い品種もあります。したがって暑い夏だと暑さに弱いの品種の収量は下がりますが、逆に暑さに強い品種の収量は増えますよね。しかしこれを日本全国が暑さに弱い品種の米を栽培した場合、酷く暑い年があったとしたら、たちまち米不足が起こります。極端な話をすると日本全国が一つの米の品種しか栽培していなかったとします。で、その品種でその稲の病気が流行った場合、その稲が全滅したとします。そしたらたちまち日本全国が米不足になりますよね。
しかし、これが日本全国でコシヒカリやひとめぼれやら、多種多様な品種のお米が栽培されていたら、ヘッジが効くんですね。今年はこの品種が病気で収量が減ったけれどこの病気に強いこの品種は例年通りの収量だったね、とか、今年の夏はさすがに暑すぎてコシヒカリが不作だったけれど、暑さに強いにじのきらめきは大丈夫でした!みたいないわゆる【リスクヘッジ】が出来るんですね。
リスクマネジメントの観点に立つと、米の多種多様性は気候変動や病気に対するリスク分散になる、という事なんです。
私たちの先祖はこれを真っ先に克服しようとしたんですね。これが一番真っ先に克服しなければならない食の安全保障というものだったと思うんです。
だから品種が多種多様であることはとても意味のある重要な事なんです。