2025/07/22 10:49
デジタル・ベーシックインカムで日本は無税国家になる! 苫米地英人
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『苫米地英人 著 デジタル・ベーシックインカムで日本は無税国家になる!』
江戸の知恵と半減期通貨が拓く経済の未来
経済循環の重要性
景気が良いというのは、貨幣が世の中を円滑に循環する状態を指します。つまり簡単に言えば、誰かのお財布に入ったお金がすぐに使われてまたすぐに誰かのお財布に入ってその誰かがまたすぐにそのお金を使うという連続性のことです。インフレやデフレの議論は一旦置いておいて、好景気とはお金が誰かから誰かへとスムーズに流れている状態のことと認識してください。
不景気とはみんながお金を使わない。貨幣の循環が停滞するというのが不景気です。これが基本でございます。
江戸時代のお蔵米 腐る通貨の知恵
江戸時代、日本は「お米」と「ゴールド(小判)」を基軸通貨として経済を運営しておりました。特に、幕府の「お蔵米」制度は特筆すべきです。昨年度と本年度の収穫米を備蓄し、一昨年の米を市場に放出。
なぜこのような仕組みを採用したか? 飢饉への備えはもちろんですが、もう一つの理由がございます。お米は腐りますね。長期間の貯蔵は不可能ゆえ、備蓄米は必ず消費される必要がありました。これにより、経済の循環が半ば強制的に生み出されたのです。これぞ「お米で経済を回す」仕組みでございます。現代だと備蓄は玄米でしてますが、昔は籾殻のついたまんまの籾殻米で備蓄していたので特に保存状態も良かったみたいですね。
一方、ゴールドはどうでしょう? ゴールドは腐らず、貯蓄が可能です。ゆえに、世の中への流通が滞るリスクがございます。ゴールドのみで経済を回すと、貯蓄が増え、循環が停滞。つまり不景気です。
一旦不景気になると、状況は悪化の一途をたどります。これを回避するため、強制的に循環を促すもう一つの通貨が必要でした。
お分かりいただけますね? それが「お米」だったんですね。一昨年のお米を「お蔵米」として放出し、貨幣としても扱う。
これにより、経済は回らざるを得なかったのです。が、江戸時代はミニ氷河期と呼ばれていた時代であったこと、お米の品種改良も今のように進んでいなかったため中々うまくはいかなかったようですが。
明治以降 アナログ紙幣と経済の複雑化
ところが、明治時代に日本銀行が設立され、国家運営は金本位制のアナログ紙幣に依存するようになりました。納税も貨幣となり、経済の循環メカニズムが変容。時代が進むにつれ、経済運営は複雑化し、いったん不景気になると回復がなかなか難しくなりました。これは現代の長引く不況にも通じる問題でございます。
デジタル半減期通貨 江戸の知恵を現代に
そこで注目されるのが、デジタル通貨による新たな経済システムでございます。特に、デジタル通貨に「半減期通貨」の仕組みを導入する概念に私は江戸時代のお米の役割を連想しました。本書の中では江戸時代のお米の話は出てきません。これは私が勝手に連想しただけです。
本書『デジタル・ベーシックインカムで日本は無税国家になる!』(サイゾー、2021年)で、苫米地英人博士が提唱するこのアイデアは、より高度で持続可能な経済システムの可能性を秘めております。
この「半減期通貨」とは、シルビオ・ゲゼルが提唱した「減価する貨幣」に由来します。簡単に申しますと、通貨に時間設定を施し、一定期間後に価値が減少する仕組み。たとえば、10万円が1年後に半分の5万円になるイメージでございます。これでは早く使わねば!と消費意欲が高まりますよね。さらに、スマートコントラクトの「イフゼンルール」を用い、食品や生活必需品に限定することも可能。江戸時代のお米のように循環を強制する仕組みを現代に復活させるのです。スマートコントラクトというのは、条件をプログラムしてその条件を満たした場合にだけ承認されるというものです。
本書の核心 デジタルBIと無税国家
本書(94ページ)は、AIやロボット技術で労働が減少する未来を見据え、デジタル半減期通貨をベーシックインカム(BI)として全国民に支給する提案です。毎月10万円が支給されるが、1年後に5万円に減価。減った分は国庫に入り、それが税金となります。貯蓄より消費を促し、経済を活性化します。財源はQEによりコロナ禍で積み上げられ眠ったままの日本銀行の当座預金を活用し、社会保障費を圧迫せずに実現可能。コロナ禍の10万円給付金を毎月、税金ゼロで! フィンランドのBI実験(幸福度向上、労働意欲維持)を引用し、BIが新たな挑戦を後押しすると説きます。コンパクトな構成ながら、財源と技術の具体性が政治家を説得する力を持ちます。兵庫県知事の斎藤元彦氏のような聡明で優秀な首長なら、かなり興味や関心を持ってくれそうな内容です。これはデジタル通貨ですからスマホのアプリでやれますし、スマホがなくても2、3千円ほどで端末が用意出来ると苫米地先生はおっしゃっています。財布を買うとしてもそれぐらいの値段はしますので経済的なハードルは低いですね。