2025/08/25 11:43

 




 朝来市議会請願書顛末記



 押忍、藤本です。今回は兵庫県朝来市で朝来市議会がとある市議会議員に関する請願書の署名を集めたことを発端とするドタバタ劇に言及していこうと思います。私がこのことを知ったのは躍動の会の増山さんのYOUTUBEを見て知ったのですが、増山さんの見解では本質を捉えきれていないように感じたので生意気ながら私もこの話題に触れていきたいと思います。私は朝来市は縁とゆかりのある地でございます。ですから朝来市議会議員の方々とも面識があります。ですが朝来市民ではないのでまったく忖度もなくお話しします。



 ことの顛末をお話ししますと、発端は朝来市議会に提出された「請願第3号」という請願でした。ある市議会議員の問題を取り上げるために市民の署名が集められたのですが、その署名の集め方や説明不足があり、まともなやり方ではなかったようなんですね。

 集められた署名は議会に提出され、公表されます。ところが、その名簿をもとに「本当に署名したのですか」「撤回しませんか」と戸別訪問する議員が現れたのです。署名者の意思確認のつもりだったのでしょうが、これは請願権の侵害や個人情報保護の観点で見ればアウトだと思います。

 一方、署名をした市民の中には「よくわからないまま署名した」という人も少なくなく、後から「そんなつもりではなかった」と混乱が広がりました。結局、請願自体の正当性よりも「署名の扱い方」そのものが大きな争点となり、やがてドタバタ劇に発展していったのです。


 そもそも署名というのは、ただのサインではないんですね。自分の意思を公に示す行為であり、責任と信頼の証です。本来ならば重く扱われて当然のものなのに、今回の朝来市の件ではそれが徹底的に軽んじられていました。

 まず署名を集める側。請願の内容を十分に説明せず、知り合いやつながりを頼りに「とにかく名前を集める」やり方は、自由意思を尊重した署名活動とは言えません。これでは署名の意味を薄めるだけでなく、後々にトラブルの火種を残す行為です。

 次に署名する側。内容を理解しないまま「知人に頼まれたから」と軽い気持ちで署名してしまうのは、社会人として浅はかと言わざるを得ません。署名は議会に提出され、公開され、政策判断に影響を与えるものです。自分の名前を預ける行為の重みを、もっと自覚する必要があります。

 そして集められた署名に物言いをつけた側。公開資料を持ち出して戸別訪問し、署名撤回を迫るような行動は、請願権の侵害であり、個人情報保護の観点からも看過できません。たとえ善意からの行動だったとしても、署名の扱いを軽視している点で問題は同じです。

 集める側、署名する側、物言いをする側。三者ともに署名というものに対する認識不足。まるで小学校のホームルームのようなレベルで、社会人としては恥ずかしいと言うほかありません。

 今やブロックチェーンの世界では、デジタル署名こそが改ざんを防ぎ、システムの根幹を支えています。もし署名を軽視する人がいたなら、その人にシステムを触る資格はないでしょう。

 これは社会においても同じことが言えます。

 だからこそ、今回の騒動は「一つの反省材料」として生かすべきです。署名の重みを再認識し、市民には理解して署名する姿勢を、請願者には説明責任を、議員には倫理観を。 

 それぞれが学び直すことで、ようやく社会全体の信頼につながっていきます。