2026/08/14 22:19

押忍、藤本です。
この前、自称AI専門家なるAIセミナーの講師と話す機会がありました。
彼らが語るのは、プロンプトの出し方やツールの活用術といった表面的なノウハウばかりです。
技術の歴史的背景や、資本市場の構造といった本質的な話を向けると、目を白黒させていました。
世間で専門家面をして教えている人間がこの程度なのかと、心底呆れました。
ドラえもんとひみつ道具
1980年代のAI研究者たちが目指していたのは、人間と同じように自発的に考え、心を持つ「ストロングAI(汎用知能)」でした。
わかりやすく言えば、ドラえもん本体がストロングAIで、ポケットから出るひみつ道具がウィークAIです。
ドラえもんは自意識を持ち、自分で判断して行動します。一方、道具はそれ自体では何も決めず、使う人間(あるいはドラえもん)がいて初めて機能します。
決める者がいるかどうか、それが自意識の有無です。
しかし、人間世界の無限の常識や例外を論理式で丸ごと記述しようとした当時の試みは、計算機の限界もありあっけなく破綻しました。
では今の生成AI(LLM)は何をしているか。
「全体最適」という果てしない夢を捨て、「次に来る言葉を確率で当てる」という一点だけに絞り、それをGPUの物量で力ずくで回しているだけです。
新しい原理でも何でもありません。ただの確率論の力押しです。
ChatGPTを含め、現代の生成AIはすべて道具(ウィークAI)の側に過ぎません。ストロングAIは一体も実現しておらず、当初のAI構想から見ればほんの一部分、言わば「傍流」の技術です。
資本主義の合理的選択
では、なぜその傍流にブラックロックやバンガードといった巨大な資産運用会社、そしてGAFAMが莫大な資金を投じるのか。
資本にとって、自分で目的を立てて動き出す本物の知能(ストロングAI)は制御不能であり、邪魔なだけだからです。
いつ完成するかも分からないものに四半期の資金は賭けられません。
「意味は問わず、統計で当てる」生成AIの原理は、インデックス運用の思考様式と完璧に同型です。資本のシステムにこれほど組み込みやすいものはありません。
さらに深刻なのはデータの質と投資回収の焦りです。
Metaは対話データを広告ターゲティングに利用し始めました。
従来の検索履歴やクリック履歴と違い、対話データには「なぜそれを見たのか」という本人の動機や感情、思考プロセスが生の言葉で残ります。
巨額のGPU投資を回収できない焦りから、彼らは人間の深い文脈データという禁断の果実に手を伸ばしているのが現実の構造です。
行政のジジイどもの無知と「AIカルト」
こうした構造もリスクも理解しないまま、世の中の企業や行政はAI活用に飛びついています。
とあるクソ田舎の行政役所が「プロのAIエンドユーザー業者」とやらと業務提携を結んだという話を聞きました。
構造の裏側も知らず、表面的なキャッチコピーを盲信して飛びつく。
これは技術の導入などではなく、単なる「AIカルト」であり、宗教信仰と何ら変わりありません。
世間の大半は「明日の仕事がラクになるか」程度にしか関心がないのでしょう。
しかし、構造を見抜く目を持たなければ、プラットフォーマーや投資家の集金システムに組み込まれ、重要なデータと思考を搾取されるだけの格好の標的になるだけです。
